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【オカルト八幡】パワーストーン

だいたい実話系オカルト小噺【オカルト八幡】

今回のタイトルは「パワーストーン」です。

パワーストーンって、けっこう前から流行ってるんですけど、実態がよくわからんのですよね…。

ということで、色々と仮説を立ててみたという話です。どうぞ!

 

 

 

「パワーストーン」

前につきあってた彼氏の話なんやけど。なんていうか、神様? 神道? そんなかんじの新興宗教に入っててさ。まあ別にそれはええんやけどね、好きだったから。でもさ、変なんよ。その彼氏とケンカするたび、うちに悪いことばっかり起きるわけ。風呂沸かし機壊れたりとか、上の階の人が水とまんなくなって、あふれてきたりとかさあ……。まあ、カレシと仲直りしたらおさまるんやけど、でも、何度目かのケンカのときに、突然、うちの両親が離婚するとか言い出してさあ。なんかおかしいなあ、って思って。ひょっとしてカレシがなんか呪ってんのかな?って思ってさあ。
それで、通販で、「大事な人を守ってくれる」っていう、ラピスラズリのペンダントがあったから、買ってみたんよ。パワーストーンって。効くらしいから。
最初は半信半疑だったけど……これがさあ、意外と効いたんよ。
両親の中はなおったし。
でも、それ以来、カレシのことゎ正直怖いなっておもって、別れたんょね……。

「という話が昔あったんですよ。もう十五年ほど前ですかね」
と、私が先輩に茶飲み話ついでにいうと、先輩は
「えらい昔の話だねえ」
と返してきました。

いや、八幡の話じゃないっすよ、これ。私、彼氏いねーよ。
「パワーストーンってほんとに効くんですかね」
まあ茶飲み話ですんで、あと先輩はかなり博識な人で、聞いてみちゃったわけです。先輩はオカルトも詳しけりゃなぜかふしぎの海のナディアの当時の盛り上がりについて異様に詳しかったりと、まあ博学なオタクな人だったので。なお先輩の三国志での推し武将は呂布なんですけど、呂布は魔性の美少年って主張するので私の中で呂布のイメージが現在絶賛崩壊中である。
それはともかく、すると先輩は、「うーん私もスピリチュアルなことはようわからんわ」と、頼んだケーキをモフモフ食べながら言いました。まあ、先輩はオカルト系は強いけど、スピリチュアルは確かに畑違いっぽいな。
「エレナ・ブラヴァっキーぐらいなら多少はわかるんやけどね。オーラの泉は全くわからんわあ」
「エレナ・ブラヴァっキーってあのFGOのキャラですか?」
と聞いてみると、
「いやその元ネタのほうよ。神智学っていう、イギリスで黄金の夜明け団(ゴールデンドーン)っていう魔術組織によって、ただの村のまじない集だったものが近代魔術としてまとめられ文化人の趣味として流行した頃に、同じように墓掘り返したりコックリさんみたいな板使って幽霊と交信するまじないとかの諸々を、降霊術・交霊術として、はては世界の真理を探求する学問として取りまとめたのがエレナ・ブラヴァっキー。じゃなかったっけ」
「ほへー」
「まあそんな感じ。確かスピリチュアルって一言で言っても、エレナ・ブラヴァっキーを祖とする英国版のスピリチュアリズム=交霊主義と、米国発のニューエイジ思想……説明めんどくさいからガンダムのララァでいいや。宇宙的超存在と交流してなんか時が視えたり人類がニュータイプに進化したりするノリのやつと二つあって、日本では大体チャンポンになってる。ちなみにオーラの泉の江原氏は英国流らしい。でも、パワーストーンはそういう中で出てきたものだから、まあ、なんていうか、超チャンポン」
「はあ。え、効くんですか」
「いや知らん」
「ほほう……」
まさに雲をつかむような話である。
「ていうか、君が話したそのラピスラズリ持ってた知り合いっていうのも、なんつーかこう、なんつーかな人なわけでしょ」
「よくご存じですね。ええ、なんかこう、カレシとっかえひっかえで、あんまりちゃんと用法要領を守って薬を飲まないタイプのメンヘラの」
「君んちに遊びに来た時、ビール缶20本を空けてそのままゴミ捨てずに帰った伝説の女だよな」
「あれ捨てるの大変でしたよ。まあそれはともかく、パワーストーンって、やっぱ効かないんですか」
「うーん」
先輩が水を飲む。
「……いや、実際ほんとによくわからん。
あんだけ流行ったのに全然効かないってわけでもないだろうし。
仏教には七宝という考え方もあるから、石が全くオカルト的な力を持たないわけでもないしなあ」
「なんですかそれ、七宝?」
「いや、話長くなるからやめとくわ。
で、その君の知り合い、どうしたのよそのラピスラズリ」
「ああ、あの人ですか。
うーん……なんか浄化してるって言ってましたけど」
「浄化」
「なんでしょうね、浄化って」
「なんだろ。
正直、あのへんって英国流と米国流がチャンポンになってて、理屈がよくわかんないんだよなあ。
中国の道教とか仏教の密教とかならもっと理屈あるんだけどね」
「はあ……」
「でも浄化って、何浄化してんの?」
と先輩に聞かれる。
私もよくは知らないので、とりあえず手元のスマホで調べる。
「えっとー……なんか、石が疲れるから、浄化してるらしいです」
「疲れると」
「願いを叶えたり、あと、身に着けてる人間のエネルギーで」
「はー……」

先輩が水を飲み干す。
「なるほど。
うーん、ひとつ、仮説ならできた」
「仮説?」
「そう、仮設。
詳しくないから、思いついただけだけど。

……パワーストーンって、確かに効くのかもしれない」
「ほう」
「でも危ない」
「……とは?」
「いや、前にwiki見た時に、パワーストーンって、確か90年代に売り出されたのが最初だったはずなのよ。つまり90年代までは、ただの鉱石だったわけ」
「はあ」
「いやおかしいやろ。なんで、ただの鉱石が、90年代以降いきなり力を持ち始めたのよ? 本当に力があるなら、それ以前に雑な扱いをされている石が総じて祟ってしかるべきだけど、ホープダイヤモンドじゃあるまいし、そんなに大規模に祟られたっていう話は聞いたことがないじゃない。じゃあ石に力がないかというと、それじゃあここまで流行るのもちょっと変じゃない? ガセならすぐ廃れるはずでしょう、某霊能者みたいに。でも、パワーストーンは、一応今まで生き残っている」
「はあ……え、じゃあ、やっぱり効くんですかね?」
私が訊ねると、先輩はひとつ頷いて
「仮説だよ?
本来、オカルトなんてそんなに信じるもんじゃないんだから。
あれは現実逃避みたいなもんだから、のめり込むべきじゃないんだよ。
でもよ。
たとえば道教だとさ、あれは、霊を使う訳じゃない。丑の刻参りとかだと、人形にそのへんの浮遊霊とじこめたり。コトリバコとかもそうよ、あれは――ちょっと神道じみた言い方になるけど、「穢れた」モノをこしらえて、その中に霊を入れて使役する装置なわけよ。で、パワーストーンなんだけど」
「はあ」
「浄化するって言ったよね?
人間のエネルギーを吸い込んだ石を浄化するんだっけ?」
「なんかそんなように書いてますが」
「じゃ、わら人形やコトリバコと原理は一緒なんじゃないの」
「は?」
「つまり、捕まえるんだよ。人間のエネルギーとやらを。
多分、魂とか、レーコンとか、そういうのの一部を、削って捕まえる性質があるんじゃないかな」
「えっ……」
削る?
「え、魂を削るんですか?」
「いや、仮説だよ?
でも、呪物があって、その中に魂を込めないといけないなら、一番手っ取り早いのは、『持ち主の魂を削って突っ込むこと』じゃない? 普通危ないからやらないけど。もし、パワーストーンに効き目があって、パワーストーンが人間のエネルギーとやらを吸収するのなら…… 自分の魂を削って藁人形につめて、それを使って人を呪い殺してるのと同じことなんじゃないかなあ、パワーストーンって。まあ、「呪い殺す」が「願いをかなえる」にかわってるけど」
「え……ええっ!?」
「いや、でも、もしそうなら、わかるやん?」
「は? 何がですか」
「いや、よく言われるじゃない。
パワーストーンは願いをかなえるけどその分後から不幸になるって。
そういう体験談、多いじゃない。
そら、自分の魂を削ってんだから、少なくとも運は悪くなるし、最悪体調不良になるわな」
「……え、じゃあ、浄化ってなんです……?」
「いやあ……
……道教では、藁人形やら蟲毒やらの「呪物・まじもの」の魂を抜くときは、線香の煙を使うんだよ。煙に乗せて天に送ってるんだってさ。これ、本当は、煙ならなんでもいいんよ。
で、浄化のメジャーな方法に、ホワイトセージを燃やした煙でいぶすというのがあってだな……」
「え、じゃあ……」
「削った自分の魂を、浄化のたびに天国に送らせてることになる……かな?」
「それって……」

持ち主、じわじわと、死んでるんじゃ……?

思わず私が目線で訴えると、先輩はひとつため息をついて
「いや、仮説だよ?
でもまあ、えげつない商売人がいることは確かだろうね。
ところで知ってる?
最近、スピリチュアルブーム、下火なんだって」
「へえ。不況なのに宗教が下火なんて珍しいですね」
普通、不況の時にこういう宗教は活気づくはずだ。
すると先輩、焦点の定まらない目をしてスマホを見ている。
――なんというか、不気味なものを見てしまったような目。
「いやあ……
最近はね、こういうスピリチュアルが必要な客層は、
別のところに行くようだよ。
こういうのが必要な人間って、あれやん?
自分の人生、うまくいってないって思うような人たちやん?」
「ああ、まあ、はい……」
私も人のことは言えないが。
すると先輩、嘆息して
「嫌な商売人ってさあ、そういうの突くの上手いんだよねー。
これからは、スピリチュアルじゃなくて、
発達障害だってさ。
貴方の人生が上手くいかないのは発達障害があるせいです、だって。
不幸な人間から徹底的に金を巻き上げようたあ、恐ろしいねえ、もう」
そう言って見せてくれたブログは、
元スピリチュアルな記事を書いていた人たちが、発達障害の記事を狂ったように書いているブログだった。
私は発達障害、こんな症状がある、こんな症状もある。
だから人生うまくいかなかったんだ。
お、おう、これ一個や二個じゃねえな……

「……嫌な世の中ですね」
「ね。」
と、他人事のように言った私(八幡)の家にも
実は三つぐらいパワーストーンがあるので、
なんというか、なんといいますかこう……


人間の闇は深い。

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